労働節、ゴールデンウィークの喧騒をよそに、日本から大切な友人が遥々中国にきてくれた。せっかくの機会だ、と北京と天津、二つの都市を股にかけた短い旅を計画。宿は奮発して、それなりのホテルを予約した。旅の楽しみといえば、やはり地の美味いものを食すこと。


まずは高速鉄道で北京へ向かう。一等車のチケットを奮発したが、これがまた端っこの車両だったものだから、ホームを延々と歩く羽目になった。30分程度の短い乗車時間ならば、二等車でも十分だったかもしれない、と少しばかり後悔が頭をよぎる。


市場での買い物を済ませて近くの店で、遅めの昼食をとることにした。もちろん、北京に来たからには北京ダックは外せない。4人用のセットを注文したのだが、店の2階はビニールハウスのような造りで、容赦なく照りつける日差しが暑い。キンキンに冷えたビールを喉に流し込み、ようやく一息つくことができた。

ホテルに荷物を置き、少し休憩してから、今度は地下鉄で天安門広場を目指す。

王府井駅を降りると、想像を絶する人の波が押し寄せてきた。広場までは、これまた気の遠くなるような距離を歩かされる。労働節だからか、近くの地下鉄は封鎖され、体感的には30分以上は歩いたように感じた。広場への入場は事前の予約が必須。そして、セキュリティチェックの厳しさには辟易する。


しかし、広場に足を踏み入れた瞬間の、あの圧倒的なスケール感には、言葉を失った。歴史の重みと、現代中国のエネルギーが入り混じったような、独特の空気があきらかに漂っていた。広大な敷地を歩き回り、写真撮影を終え、気がつけば時間も体力も、すっかり限界を迎えていた。

夕食は、三里屯太古里という、これまた人でごった返すエリアでとることにした。現代中国の勢いを丸ごと感じることのできる場所。まるで祭りのような賑わいで、レストランはどこもかしこも満席。車のクラクションがけたたましく鳴り響き、喧騒が耳をつんざく。


ようやく見つけた店で夕食を済ませ、へとへとの体を引きずってホテルへ戻る。明日の朝は、楽しみにしていたホテルのブッフェ。どうか、美味しいクロワッサンと、淹れたてのコーヒーが待っていてくれますように。そんなことを思いながら、眠りについた。