書くことは世界を狭くすること。「読みたいことを、書けばいい」/田中 泰延【書評】

年始の読書始めに選んだ本。

WEB上の評価で、よくある文章術の本ではないようなことが書いてあったので、思い切って購入してみました。

ところどころクスっと笑ってしまうような表現や、ドキッとしてしまう言葉が散りばめられていて、楽しく読むことができた。

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他人の人生を生きてはいけない

評価の奴隷になった時点で、書くことがいやになってしまう。
他人の人生を生きてはいけない。書くのは自分だ。
誰も代わりに書いてくれない。
あなたはあなたの人生を生きる。
その方法のひとつが、「書く」ということなのだ。

いきなりクラった言葉。さすがにけなされるようなことはないけど、記事をアップすれば反応があったり、いいねがもらえたりするようになってきた。

でもそこで、「次も褒めてもらうために頑張って書こう」なんて気持ちに縛られた瞬間に、評価の奴隷になってしまう。もっと自分のために書こう。

物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛

書くという行為において最も重要なのはファクトである。
ライターの仕事はまず「調べる」ことから始める。
そして調べた9割を棄て、残った1割を書いた中の1割に
やっと「筆者はこう思う」と書く。

そもそもお酒に酔った勢いで書いていたりすることもあるので、肝に銘じます。

でも調べて書くと時間がかかったりするので、悩ましいところ。

感動が中心になければ書く意味がない

調べることは、愛することだ。
自分への感動を探り、根拠を明らかにし、
感動に根を張り、枝を生やすために、調べる。
愛と敬意。これが文章の中心にあれば、
あなたが書くものには意味がある。

自分も意識している部分。感動というと大げさだけど、「あっ、これいいじゃん」、「美味い!」みたいな自分の中の感動を記事にしたい。

書くことは世界を狭くすることだ

あなたは世界のどこかに、小さな穴を掘るように、
小さな旗を立てるように、書けばいい。
すると、だれかがいつか、そこを通る。

ちょっとずつだけど、だれかが通ってくれるようになってきたなぁなんて思います。毎日小さな旗を立てよう。

貨幣と言語は同じもの

言葉とは、相手の利益になる使い方をすれば、
相手の持ち物も増え、自分の持ち物も増える道具なのだ。
書いたら減るのではない。増えるのである。

この発想はなかった。お金と一緒で、ある「価値」を手に入れたいときは、お金を払うし、コミュニケーションをやり取りする場合は、「ことば」を返すことになる。

素敵な使い方をしたい。

書くことは生き方の問題である

自分のために書いたものが、だれかの目に触れて、その人とつながる。
孤独な人生の中で、誰かとめぐりあうこと以上の奇跡なんてないとわたしは思う。

記事をアップすれば、読んでくれる人、いいねをしてくれる人がいる。知人以外でどこかで見つけたこのブログをブックマークしてくれて、読んでくれる人がいる。

こんな幸せなことないよね。

こんな人にオススメ

よくある文章術◯選的なテクニック論ではなく、言葉を綴る上でのスタンス、気持ちの持ちよう、文章とは?、といったハートに訴えかけるような本でした。

これからも定期的に読み返していきたいと思う。

「自分のために、書けばいい。読みたいことを、書けばいい。」

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